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ドナルド・スーパーのキャリア理論②「職業適合性分析」

今回はドナルド・スーパー編の第二回をお届けします。

前回の記事では、ドナルド・スーパーが提唱する理論の重要な要素として、職業選択の際に、自分自身の自己認識と他者による客観的なフィードバックを含めた、キャリア自己概念の説明をしました。

さて、その上で、ドナルド・スーパーは、実際の社会における職業活動において、自分の自己概念だけで上手くやっていけるとも考えていませんでした。なぜなら、あくまでそれは、働く人本人の概念であって、実際に存在する社会や企業といった環境とのマッチングを考えなければならないからです。

わかりやすく言うと、本人がいくら大工さんに向いていると思っても、工務店が彼には適正がないと思ったらアウト、ということですね。そこで、ドナルド・スーパーがそういった個人と社会の適合判断として考えた基準が、ドナルド・スーパーの職業適合性(Vocational Fitness)です。

ドナルド・スーパーの職業適合性(Vocational Fitness)

職業における適正判断は様々な人たちが考えをめぐらして来たのですが、ドナルド・スーパーもなんとかそれを分析・抽出し、活用出来ないかと考えました。彼の特徴は、個人の特性と、職業遂行条件を静的な結びつきとして説明しようとしたのなく、個人と職業の間にある力学、ダイナミズムとして捉えようとしたところにあります。

それでは、彼の考えた職業適合性について見てみましょう。

職業適合性(Vocational Fitness)のコンテンツ

能力(Ability)とパーソナリティ(Pesonality)
職業適合性はまず能力とパーソナリティに分けられます。

能力(Ability)

能力はさらに、適正(Apititude)と技量(Proficiency)に分けられます。

適正(Apititude)と技量(Proficiency)

適正とは「将来何が出来るか」「達成出来るであろう可能性」といったことを表します。技量は、「現在到達している状況」を表します。現在その人が何が出来るか、ということです。適正はさらに、知能、空間視覚化、知覚能力、精神運動機能、その他未開発のもの、に分けられます。技量は、学力、業績、スキルに分けられます。

パーソナリティ(Pesonality)

パーソナリティを構成するものは、欲求(Needs)、特性(Traits)、価値(Value)、興味(Interest)に分類されます。この中で、欲求と特性は特に、適応(Adjustment)という行動様式を表すものとされています。

以上のように定義された要素を用いて、ドナルド・スーパーは人と職業の適合性を説明しようとしたのでした。キャリアカウンセラーが人の職業適合性を見るときに、彼や彼女の自己認識からくる希望を踏まえた上で、この上記のような要素を照らし合わせながら、現実的なアドバイスをしていくということが重要になるとしたのです。

さて、ドナルド・スーパーのキャリア理論には、彼がまとめあげた、14の命題というものがあります。今回は、上でご案内した彼の職業適合性分析のキーワードを理解した上で、そのうちのいくつかの命題を紹介しましょう。ドナルド・スーパーのキャリアにおける考え方が非常に良くわかるはずです。

人はパーソナリティの諸側面(欲求、価値、興味、特性、自己概念)および能力において違いがある

それぞれの職業には、必要とされる能力やパーソナリティ特性の独自のパターンがある。職業についている人に多様性が見られるように、個人も多様な職業につく、許容性を有している。

キャリア・パターンとは到達した職業レベルである。また試したものであれ、安定したものであれ、経験した職務に従事した順序、頻度、期間を意味する。キャリアパターンの性質は、各個人の親の社会経済レベル、本人の知的能力、教育レベル、スキル、パーソナリティの特徴(欲求、価値、興味、自己概念)、キャリア成熟、および個人に与えら得た機会によって決定される。

職業満足や生活上の満足は、個人の能力、欲求、価値、興味、パーソナリティ特性、自己概念を適切に表現する場をどの程度見つけるかによって決まる。満足感は、人がその役割を通して成長し、探索的な経験を積み、自分にとってあっているというような類の仕事、仕事の状況、生活様式に身をおいているかどうかに拠る。

以上、今回はドナルド・スーパーの職業適合性分析についてご説明しました。


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