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サニー・ハンセンのキャリア理論解説④「社会の共通の善に繋ぐ~ILP理論の現場での活用」

今回はサニー・ハンセンのキャリア理論解説の最終回をお届けします。

第三回まででご紹介させていただきましたように、サニー・ハンセンの提唱した統合的ライフプランニング理論とは、個人だけの成長や成功を目指すものでなく、社会や他人との結びつきの中での貢献を含めた包括的な成長を目指すものでした。それの指針となる6つの重要課題は、以下のようなものでした。

①グローバルな状況を変化させるためになすべき仕事を探す。
②人生を意味ある全体像のなかに織り込む。
③家族と仕事の間を結ぶ。
④多元性と包括性を大切にする。
⑤個人の転機と組織の変革にともに対処する
⑥精神性、人生の目的、意味を探求する。

さて、これら統合ライフプランニングの理論踏まえて、キャリアカウンセラーは、キャリアに悩める人にどのようなアドバイスをすればいいのでしょうか。サニー・ハンセンはそれについて、女性らしい表現でわかりやすく応えています。

それが、「キルト」です。

キルト

キルトとは、パッチワークのように布を縫い付けたものです。サニー・ハンセンは以下のように象徴的にキャリアカウンセラーの役割について語ります。

「カウンセラーやキャリア専門家は、子供達、クライアント、学生、被雇用者がそれぞれの役割と人生のゴールをデザインし、部分を全体にまとめ上げていくことを助けるキルト製作者のようなものである。さらに言えば、この地球上で、互いを結びつけ、この世界をより良い場所とし、私たちの人生やコミュニティを共通の善という目的のために創造していくキルト製作者なのである」

まず、個人が社会と社会の中での役割としての自分を結びつけ、自己実現していくことで、世界が繋がり、大きなパッチワーク=キルトのようにより良い社会、共通の善に繋がっていくというのがサニー・ハンセンの描く理想のキャリアであり、それをサポートするのが、キャリアカウンセラーの役割となるのです。

最期に、サニー・ハンセンが全米キャリ発達学会で、キャリアカウンセラーに述べた7つの訓辞を要約してお届けします。ここに、統合的ライフプランニング理論を踏まえた上でのキャリアカウンセラーのあり方、そしてキャリアに悩む方、サポートする方の具体的な指針があるはずです。

1.クライアントが、予期せぬ失敗にも対処できるよう、「自分はできる」と自信を持てるように援助しなさい。
2.心、身体、精神をばらばらにせず、全体を大切にしなさい。
3.なすべき仕事、役割を見つけなさい。天職を見つけるのです。
4.量的なリサーチや統計にばかり惑わされず、自分の信念や直感を大切にしなさい。
5.個人の自己満足を得るだけでなく、大きなコミュニティや社会での不遇な人の役にたつこと、その両方を考えるのです。
6.多様な文化圏、男女の役割や平等ついて、正しい理解と貢献をするのです。
7.クライアントや学生に変化をもたらすエージェントとなるのです。キャリアの選択が、社会の自由と平等という民主主義価値に繋がることを伝える伝導師となるのです。

いかがでしたか?サニー・ハンセンのキャリア理論案内、今回で一旦終了となります。女性の方にとっては、特にすんなりと受け入れやすい理論だったのではと思います。キルトのように、ひとりひとりのキャリアが社会の共通の善となり、悪を防ぐ手段となるのならば、私たちの仕事もとても遣り甲斐のあるものだと感じられます。

現実の中ではなかなか理想どおりに行かないことがあったとしても、エージェントもキャリアを進める方も、心のどこかには忘れずに留めておきたいものですね。


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